世界的大ブームの『イカゲーム』。政治や経済の失敗を自分の失敗だと思い込む洗脳された庶民の救いがたい健気さよ!【藤森かよこ】
真実暴き時代に疲弊する人々を癒す大量殺人映画やドラマもいろいろ
つまり、現代に生きる庶民は、この世界の真実をいくばくか知ってしまったので辛い。2020年からの新型コロナ・ウイルス騒ぎに関しても、事実なのか人口削減のためのフェイク・パンデミックなのか判断がつかない。ロックダウンは必要なことなのか人口削減のための経済活動破壊なのかわからない。ワクチンを接種すべきなのかどうかも判断がつかない。
そんなややこしい状況を生きる庶民にとっては、勧善懲悪アクション映画の単純さが嬉しい。悪い奴は問答無用で大量に殺される映像を視聴することは、ささやかに心の毒ガス抜きになる。
映画やドラマで人間がバタバタ死んで行く場面というのは、戦争や大災害などの事実を基にしたものでなければ、見ていて快感がある。あくまでもフィクションだからだ。勧善懲悪劇というフィクションだからだ。
■『イカゲーム』の大量死は、ダークヒーロー映画の悪人大量死とは違う
しかし、『イカゲーム』の大量死は、同じフィクションでも、最近のアメリカ映画や韓国アクションドラマのダークヒーローたちの悪人大量粛清フィクションが与えるような、心のガス抜き効果は低い。
それはなぜか。 『イカゲーム』で大量にバタバタと殺されていく人々は、愚かではあっても悪人と呼ぶほどの悪人たちではないからだ。
たかが借金返済ができず、落ちこぼれになった程度のことが悪だろうか。国民を飢えさせる政府を持つ国から韓国に逃げてきて、生きて行くためにスリをしている程度のことが悪だろうか。かなり悪質でも、韓国マフィアのボスのカネを奪って逃げた程度の悪人とか悪徳医師ぐらいしか登場しない。
『イカゲーム』に登場するカネに追い詰められ、死のゲームに参入する庶民たちの、なんという健気なことか。いじらしいことか。彼らや彼女たちは自堕落でアナーキーに見えるが、その姿勢の根底には、彼らや彼女たちも意識していない「まっとうでありたいという欲望」がある。「自分の責任を果たそうとする倫理性」がある。
主人公は離婚した妻の元にいる娘に恥ずかしくない父になるために、病気の母親の医療費を払うためにゲームに参入する。ある娘は北朝鮮に残る両親を脱北させ、孤児院にいる弟を引き取るために。ある極道は使い込んだ親分のカネを返済するために。苦学してソウル大学を卒業した秀才は、横領した会社のカネを返済し、抵当に入れてしまった母の店や家の所有権を買い戻すために。
彼らや彼女たちは、「まっとうでありたいという欲望」や「自分の責任を果たそうとする倫理性」など棄ててしまえば、こんなゲームに参入することはなかった。借金など踏み倒していいのだ。会社のカネなど横領したまま逃げればいいのだ。家族のことなど、その家族が何とかすればいいのだ。他人を幸せにするなどという大それたことなど考えなくていいのだ。
言い換えれば、彼らや彼女たちは、彼らや彼女たちの持つ善性のためにゲームに参入し、殺される。大量に次から次へと。
彼らや彼女たちは、唯々諾々として番人たちに監視管理されていないで、一致協力してゲームの番人たちから銃を取り上げ、カネを奪って分け合おうとも思わない。なんという「遵法精神」だろうか。
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